曹操はダントツに有名として、その子曹丕までは真・三國無双でもプレイアブルキャラなので(判断基準・・・)知名度は高いでしょう。その子、曹叡も実は結構キャラが立っていました。
正史「三国志」で書かれる曹叡
字は元仲。曹丕の子で母は甄夫人。222年に平原王となる。母が曹丕に誅殺されたため、太子にたてられなかったが、曹丕が重体となって太子に立てられた。曹丕の死後、皇帝に即位する。以下、曹叡を評した文章を抜粋する。
・侵しがたい威厳があり、沈着剛毅で決断力と識別眼を持っていた。
・吃音で口数は少なかった。
・容姿は優れ、立つと髪は地面に垂れた。生来記憶力に優れており、官吏の名簿の記録を一度見聞きすると忘れなかった。
・太子の頃は深く書を読み、朝臣とも交際せず政治に無関心であった。
・博識で特に法律学に興味があった。
曹操は「わが基は汝の代で三代となるだろう」と言っている。軍事面でも的確な指示を出し、何度も孫呉を防いでいる。容姿端麗で能力値もチートな曹叡だが、晩年の宮殿造営乱発で評価を落としている。
ドラマ「軍師連盟」の曹叡像
軍師連盟のシナリオ、キャラクターデザインの秀逸なところは正史や演義をベースに独自の解釈を加えている妙味にある。曹叡は特に正史の記載に乗っ取りつつ、斜め上のキャラクター像が作られている。
【自分の姿に母を重ねる】
女装癖、と揶揄されるが本質は異なる。母の衣装や装飾品に触れ、身に纏うことで母を愛おしみ、さらに母の面影を残した(という設定・・・)自分の姿を鏡に映すことで亡き母の姿を想っている。両親からの愛情が足りなかった曹叡、特に母への思慕を女装につなげている点が面白い。
【宦官辟邪との愛人関係】
愛人と言って良いものか、本妻の皇后よりも宦官辟邪との関係の方が濃密だったことは明確だ。しかし結局、曹叡の中では母への愛が一番だった。そこがまた切なさ爆発で良い。辟邪は架空の魔除けの動物の名前。ある意味ニックネームのようなものに思えるが誰がこの名をつけたのか気になるところ。ドラマ中のオリジナルキャラと思いきや、正史明帝紀には「辟邪」という小間使いの名前が出てくる。それを主要キャラとして作り上げたのはひたすら感服する。史実に宦官を寵愛した記載はないが、否定はできないかもしれない。宦官を寵愛することがこの時代で当然のことであればあえて書かれないのではないだろうか。
【すぐキレる】
ドラマではその瞬間湯沸かし器な性質が演技の秀逸さと相まって曹叡を忘れられないキャラクターにしている。基本設定はあるはずだが、細かい役作り、演技は中の人劉歓さんの苦労がうかがえる。歴史書に曹叡の情報は少なく、役作りに苦労したと劉歓(刘欢)さんは言われていた。体当たりの演技に、この人日常生活が普通に送れるんだろうかと本気で心配した。実際にすぐキレる性格だったのかどうかは知るよしもないが、気になるエピソードがある。「農民の女で自分を仙女というものがおり、人に水を飲ませたり、傷口を洗ってやるとそれが治癒した。曹叡は彼女を手厚くもてなしたが、病床に伏せた際にその水が効き目がないとして彼女を殺害した」絵師殺害のくだりと重なる部分がある。
ドラマにおける複雑な人物像
手がつけられないほどブチ切れるかと思えば、冷静に状況を判断する姿もある。戦に出ると名君ぶりを発揮するが、宮殿に帰ると病む。怒りやすく神経質、計略に富んだ皇帝と曹叡を演じた劉歓さんは表している。(冗談で女装上手とも)曹叡はとても繊細で複雑な役だった。
司馬懿との関係性の複雑さも面白い点だと思っている。司馬懿を排除したいが、それをすれば諸葛亮と互角に戦える人材がいない。信頼しているが、力をつけることで反旗を翻すのではないかと恐れてもいる。それなのに愛されなかった父への想いを司馬懿に重ねていると思われる表現もある。司馬懿と曹叡のやりとりはいつもどう転ぶのかわからなくて緊張の瞬間だった。司馬懿とは敵対関係にある構図だったが、白黒はっきりした構図ではないところに面白さがあり、曹叡最期の場面で絶妙のスパイスとなったと感じる。
この場面、首を絞めるんじゃないかと本気で心配した!曹叡の手の動きがかなり艶めかしくて好き。このおんぶの表現が伏線になるとは・・・!!秀逸。
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