2022年5月8日日曜日

藤戸に残る源平合戦史跡を訪ねる-後編

倉敷市藤戸には1184年に行われた源平合戦の史跡が残されています。当時ここは小さな島が点在する海でした。藤戸源平史跡巡り後編。


盛綱が先陣を切って上陸した先陣庵

馬で海を渡る佐々木盛綱がこの地に上陸し、平氏陣営に攻め入り、勝利を得た。後に盛綱はここに先陣寺を建て、戦没者と浅瀬を教えた漁夫(秘密保持のために殺害!)を供養した。今は小さな庵が残るのみ。

庵は西明院という寺院の敷地に残されてる。ここは高台になっており、藤戸古戦場を見渡すことができる。乗り出し岩、平家本陣の位置関係をみると、結構距離があるので浅瀬は結構広かったのだろうか。ちなみに先陣庵は平家本陣にかなり近い。


盛綱が戦勝祈願した御崎神社

高坪山の山頂に造られた神社。盛綱がここに布陣し、戦勝を祈願したという。当時はこの周辺も海であった。もとはもう少し上にあったが、盛綱が現在の位置に移したという。

御崎神社鳥居。短い階段の先に社が見えている。


馬を休めた場所 鞭木跡

この辺りは土地が少し高く、乗り出し岩から進軍した盛綱はここで馬を休めた。持っていた鞭を水底に刺したのが巨木に育ち、地名の由来になった。藤戸寺にある盛綱像はこの木が枯れたのを利用して天城藩主が彫刻したという。

住宅地の中にある狭い公園。公民館の横に小さな社があるのみ。背後の木が鞭木かと思いきや、枯れたというので関係無さそうだ。ささやかな遊具が設置されていた。


硯水を汲んだ誓紙の井戸

戦いに勝利した盛綱は平家滅亡後に児島を領地として得た。新しい領地にやってきた盛綱は土地の有力者に服従を求める誓紙を差し出させる。その硯の水を汲んだ井戸。一応井戸の体裁はあるが、今はただの水たまりのようにみえる。

夏に来た時はもっと草がぼうぼうだった。木製だった案内が新しく石碑になっていた。近くに説明看板もあります。ちなみに平家本陣はこのすぐ近く。

高速道路の高架脇にある。


漁夫母の無念 笹無山

最後に紹介するのはこちら、笹無山。盛綱に斬られた漁夫の母は佐々木憎しと山に生えていた笹を抜いてしまった。以来、山には笹が生えることは無いという。母の無念を物語る史跡だ。

今や土盛り程度の高さしかない。しかし、当時は山だったのだろう。山の笹を全部抜くという恨みの深さは計り知れない。それはそうだ、よそ者に有益な情報を教えたのに殺害されるなんて、やりきれません。・・・よく見れば短い笹が生えていた。供養のおかげでしょうか。


藤戸の名物たい焼き

藤戸寺の正面にある「鯛よし」のたい焼きは地元のファンが多い。休日には行列ができる光景も見かけるほど。職人気質なおじさんが一つ一つ焼いています。たい焼きの鉄板が1匹ずつの一丁焼きなので、焼き加減が適切らしい。

独特の細身のフォルム。あなどるなかれ、この中にあんがぎっしりつまっています。皮のぶぶんも香ばしくて、昔ながらの上質なたい焼き。もし藤戸の源平合戦史跡巡りをするならぜひお求めください。

鯛よしの隣にある食堂も昼になると地元の人たちが集う。メニューはうどんにそばに炒飯と節操無い感じなんだけど、どれも美味しい。ちなみにこちら「源平そば」たっぷり具材のあんにそばのゆで加減もちょうど良くて美味しかったです。

史跡の位置関係はこちらのマップを参考に 藤戸源平遺跡マップ




藤戸に残る源平合戦史跡を訪ねる-前編

倉敷市藤戸には1184年に行われた源平合戦の史跡が残されています。当時ここは小さな島が点在する海でした。

佐々木盛綱、海を渡る

源平合戦史跡をこの藤戸寺を拠点に徒歩で巡りました。
藤戸寺は高野山真言宗の寺で、このあたり一帯がまだ海だった頃、千手観音の霊像が浮かび上がったとされています。源氏方の武将、佐々木盛綱が源平両軍の兵と自分が殺めた漁夫の霊を弔うために大法要を行った寺でもあります。

付近には倉敷川にかかる盛綱橋。藤戸寺は正面に見える。トップ画像に据えた佐々木盛綱の出来の良い銅像が飾られている。

橋の欄干には海を渡る盛綱の姿。佐々木盛綱は平氏を破った英雄を称えている。

県道22号線沿いにある乗り出し岩。
源平両軍は藤戸海峡を挟んで対峙していた。船を持たない源氏に、平氏は船を漕ぎ出して渡って来いと挑発し、戦況は膠着状態だった。そんなとき、佐々木盛綱は地元の漁夫から対岸に通じる浅瀬を教わる。これにより、盛綱は岩の上から馬で飛び、先陣の功を立てて平氏を敗走させた。

岩がごろごろ。このどれかに馬の蹄の後でも残っているのだろうか。劉備檀渓を飛ぶを彷彿をさせる遺跡だ。

藤戸寺の東、倉敷川のほとりにある経ヶ島
源氏を勝利に導いた盛綱だが、浅瀬を知られまいと漁夫を亡き者にした。翌年、戦勝の功績で児島郡の領主となった盛綱は漁夫の供養のため藤戸寺で法要を行い、写経をこの島に埋めたので、経ヶ島と呼ばれる。当時は海に浮かぶ島だったのだろう、現在は海の名残は無い。

頂上に石灰岩で造られた二基の印塔があるが、小さい方が漁夫の供養塔らしい。戦中とはいえ、浅瀬を教えた漁夫が哀れだ。

浮州岩。
潮の満ち引きに関わりなく常に海面に出ていたことから名付けられた。今も京都の醍醐寺三宝院の庭に置かれている。三宝院のホームページで藤戸岩の名前を確認できた。当時は海だったが、今は田んぼのど真ん中にあるというのが面白い。

平家本陣跡。
小高い丘の上にある。当時はここから周囲の様子がよく見渡せたことだろう。石碑が立ち、地蔵が祀られている。平家が篝火を焚いたことから篝地蔵と呼ばれている。

敷地はとても狭い。当初、マップを見ながら近くまで到達したものの、この場所を探し出せずその辺を歩いていたおっちゃんに平家本陣跡はどこですかと訊ねたら知らんと言われて首を捻った。しかし、ふと振り向けばそこに石碑を発見。えー、まじか・・・と思った瞬間だった。中国の遺跡巡りあるあるを体感してしまった。


藤戸の名物 藤戸まんじゅう

藤戸寺最寄りに藤戸まんじゅうの本店がある。藤戸寺で漁夫の法要が行われたとき、民家からまんじゅうが供えられたのが起源という。元禄時代までは藤戸寺境内の茶店で売られていたが、江戸時代にはまんじゅう小屋で売るようになり、現在に至る。とても歴史がありますね。

薄皮の張ったこしあんの塊という感じ。甘いけど美味しいです。余談ですが、岡山県には大手まんじゅうというのがあって、駅などでも売られているので食べ比べてみてください。

史跡はまだあるので後編に続く。




2022年5月1日日曜日

海と空の青が交わる下灘駅

愛媛県伊予市にあるJR下灘駅は海沿いにある無人駅。自然と調和したフォトジェニックなローケーションは映画やポスターの撮影にも使われました。


海が見える駅へ

JR下灘へは自家用車でやってきました。駅の近くに駐車場があるようですが、案内に従って進むとなかなかの隘路で、すれ違いに苦労しながら駅前にたどり着いたのですが、駅の駐車場は5~6台ほど、すでに満車で狭いホームに人が溢れていました。

駅前をそのまま通り過ぎて20台ほどの駐車スペースに向かったのですが、すごい切り返しの坂道で、断念。そのまま広い海沿いの道を走り、防波堤付近のスペースに駐車しました。そこから徒歩で向かいます。徒歩最強。

この日は雲一つない青空。本当に素晴らしい晴天で海の青も美しい。でも砂浜近くを覗き込めばでっかい赤色の藻がたくさん流れ着いており、あまりきれいではなかった。青色のガードレールもいい感じ。

下灘駅に続く線路。こういう風景も徒歩ならゆっくり見られていいですよ。(駐車できた人たちに対する負け惜しみではない決して)

テキスト坂道を登って到着。赤い旧型ポストがある駅舎も趣がありますね。付近は普通の民家で生活道路になっています。小さな無人駅なので入場券も必要なく、改札を通ってホームへ出られます。

これは絶景!ノスタルジックで幻想的な風景が広がってテンション上がりました。JR看板が青色なのもいい。

あの風景。JRのポスターにも使われたそうです。この先に線路と国道が走っているのですが、すぐ向こうが海のように錯覚しますね。

ホームから線路の眺め。ちなみに人が写らないようにしていますが、狭いホームには30人くらいの観光客がいました。友人や家族連れでベンチに座って背中からのアングルを撮影して楽しんでいましたよ。

のんびり電車を待つ

上り・下り合わせて一時間に2本くらいでしょうか。私が到着したときにはあと20分ほどで電車が到着するというので、せっかくだし待ってみることにしましたよ。

この日は連休対策もあってか、JR職員さんが見学マナーについて説明してくれており、無法者はいませんでした。みんなマナーを守って電車から降りる乗客の導線を開けて待っていました。いよいよ(ダジャレではない)電車が入ってきましたよ。撮り鉄じゃないけど思わず大興奮!

空と海に合わせたように車体の色も青!

よく写真で見かけるアングルが撮れました。嬉しい。無人のホームに海と電車、本当に不思議な光景。ちなみに下灘駅には電車で来ることもできますよ。当たり前すぎるけど、意外と盲点かもしれない。

乗客の乗り降りを済ませて発車しました。電線が無いですね。四国を走る電車は割とディーゼルなのかな。黒い煙を吐いています。これもまた情緒がありますね。

今回は昼間でしたが、夕日やもうちょっと雲がある日もまた違った情感があるでしょう。またふらりと来てみたい場所でした。本当に来て良かった!




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