2017年11月3日金曜日

もうひとつの孫権故里

杭州市には龍門古鎮とは別に孫権の故郷とされる場所があります。孫権を祀る廟や古い石碑が残る田舎の村ですが、こちらは観光地化が進んでおらず、また風情があります。


龍門古鎮から車を探す

 龍門古鎮(孫権故里)の前の食堂で昼ごはんを済ませてもうひとつの孫権故里へ行くためタクシーを探すも、全くつかまらない…。同行の現地ガイド氏が食堂の兄ちゃんと交渉して場所を知っている知り合いを呼んでくれることになりました。しばらくしてやってきたのは日本でいう軽4のボロイ車。運転するのはおっさん。ガイドとともにおっさんの車に乗り、もうひとつの孫権故里へ向かいます。

 田舎道を走ること20分くらいでしょうか。農村にあった孫権を祀る廟。鍵が閉まっており、中を見ることはできませんでした、遺跡あるあるですね、残念。

 孫権像。「呉大帝孫権」と台座に金文字が書かれている。佇まいも立派な孫権像。廟の前に鎮座しています。

 孫権像と廟の敷地の横に孫権故里の石碑と資料館のようなものが建設中でした。資料館はまだ中は空っぽの様子。これから開館するんでしょうかね。4階建とはずいぶん立派です。しかしこんなド田舎にこんな立派な資料館…誰も来なくてすぐに閉館してしまいそうで開館前から心配になってしまいます。


村に残された石碑や伝説

 孫権像の他にも三国志関連の石碑があるはずなので周囲を探してみる、が当てもなく探すわけにはいかないので畑で農作業をしていたおっさんに声をかけてみました。おっさんは手を止めて案内してくれました。道中、おっさんがこの道は日中戦争で日軍が行進していたんだとやや興奮気味に語り、今、日本とは仲良くするべきだよ。と言っているらしい、のを通訳で聞きました。ちょっとドッキリ。中国を旅するときにはこのような話題になることもあると心得ておかなければ。

 孫権像から農村の道を歩いて3分ほどで3つの石碑がありました。真ん中意外はすり減って何が書いてあるのか読めない…。真ん中のは瓜という文字が見えるので孫権のおじいさんの逸話に関係するのだろう。整備されていない空き地に建っています。そのうち撤去されないかちょっと心配であります(こんなのばっかり)

 3つの石碑を通り過ぎると、田んぼの中に瓜畑の跡地の記念碑がありました。
 -孫権の祖父にあたる孫鍾は瓜を売って生計を立てていた。あるとき、瓜が欲しいと3人の少年がやってきた。孫鍾は少年たちに瓜をやった。少年たちは瓜を食べ終えたとき、孫鍾の子孫が天下を手にすると予言した。孫権は呉の皇帝となった。ー
 この逸話が石碑の背面に書かれていました。瓜畑ではなく今は田んぼというのも面白いですね。 

 もう一か所、石碑を探しに行きます。ちょっとだけ距離があるというので案内してくれる農家のおっさんも車に乗り込みます。ガイドのおっさんと、知らない運転手のおっさんと、農家のおっさんの3人のおっさんと共に孫権故里の石碑を探しに行きます。石碑はこの道の先にあるそうです。

 田んぼの向こうに東屋が見えます。

 田んぼのあぜ道を進み、見つけました!!孫権故里の石碑。こちらの孫権故里は農村の廟と石造と石碑、つくりかけの資料館といったなんとも田舎の三国志遺跡という感じでした。農家のおっさんによればこっちが本物の孫権故里なんだよ、ということでした。孫権が郷里の人に愛されているのは嬉しいことですね。個人的にはこちらの孫権故里の方が素朴で好きです。


孫呉の武将像が並ぶ東呉文化公園

 農家のおっさんにお礼を言ってお別れし、近くにある東呉文化公園へ。ここでドライバーのおっさんともお別れです。東呉文化公園は割と街中にあって、車通りも多く公園の前にはバス停がありました。

 ここは三国志テーマ公園となっており、なにより呉推しということで郷里のパワーを感じます。呉の人物の像が並ぶこの廟は孫呉ファン感涙モノです。孫堅、孫策、孫権像や文官、武官の立派な像が並んでいます。



 公園は敷地が広く、小山も含めてすべて散策するには2時間くらいは欲しいところでしょうか。山の遊歩道にも三国志っぽいスポットがあるようでしたが、今回は時間が無くてまたの楽しみにしたいと思います。

 いろんなおっさんの力を借りて無事に孫権故里を見つけられたのは良かったです。田舎の遺跡は現地の人の力を借りないと難しいですね。今回ガイド氏が良く仕事をしてくれたので幸運でした。食堂でも知っている人がおらず、到達できないかと思ったのですが、粘り強く交渉してくれたおかげです。感謝!!



龍門古鎮こと孫権故里を訪ねる

杭州市街地の南西に呉の孫権の故郷、孫権故里を訪ねました。現在も子孫が暮らす古い街並みが残されており、龍門古鎮として国家AAAA級景区となっています。(2017年訪問)


孫権故里(龍門古鎮)へのアクセス

 孫権故里は杭州の中心部から直線距離で南西に50キロ余り、車で1時間強の場所にあります。富春江の南、龍門山のふもとに位置するのどかな村です。龍門古鎮という観光地になっています。

【孫権故里(龍門古鎮)基本情報】
■住所:
■交通:杭州駅から車で1時間強、または富阳市区汽车西站が最寄りバスターミナル
■営業時間:8:00-17:00
■門票:80元
■見学所要時間:1~2時間
※情報は当時のものです。訪問前に各自ご確認ください。


美しい中国の古い街並みを歩く

 孫権故里(龍門古鎮)に到着すると、「孫権故里」と壁に大きく書いてありました。意外とちゃんと孫権アピールしており、三国志ファンとしては嬉しいですね。幼稚園の子供たちが見学に訪れていました。他にも団体ツアーが何組か。そこそこ賑わっていますがひどく混雑しているわけではない、ちょっと穴場の古鎮です。石の前でおばちゃんがポーズを決めて写真撮影をしており、なかなか撮影チャンスが無い...このような石碑の前は記念撮影スポットで、みんなポージングが決まるまで何度も撮影するのでなかなか空けてもらえません(笑)


 この町は人口7000人余り、孫権の子孫が暮らしており、90%は孫姓とのこと。古い街並みは文化遺産として保護されているので勝手に改修できない、また改修にもお金がかかるので住むのも大変なんだそうです。入場料を払って見学する場所に普通の暮らしがあるのは不思議な気分です。

 お気に入りの見学スポット、硯池。池の向こうに立ち並ぶ古い街並みが水鏡に映る景色が美しいです。近くにカフェがあるので散策に疲れたらここで休憩してもいいでしょう。

 川沿いの町並み。石造りの家が並びます。狭い路地も雰囲気があって素敵です。





孫権を祀る祠、孫氏宗祠

 孫権というか、孫氏を祀っている場所ではあるのですが、孫権の大型パネルや三国志の呉の武将たちのパネルが並ぶ三国志ファンには嬉しい場所。位牌を並べた場所には孫堅の名前を見つけました。あの孫堅なのでしょうか。地元だけに孫呉を推しています





この付近ではバドミントンのラケットの生産で有名だそうです。古鎮の中の商店でもラケットのお店がありました。バドミントンを楽しむ孫呉の武将を想像すると愉快です。もちろん、三国時代にはバドミントンなどありませんが(男塾世界ではありそうだ…)

 そして、実はこの近くにもうひとつの孫権故里があります。 龍門古鎮の外の食堂で昼飯を食べてから向かいます。タクシーを利用しようと思ったのですが、全然タクシーが通らない…。ガイド氏が食堂のおっさんと交渉してくれ、だいたいの場所を知っている人を探してくれました。ボロい軽四(中国には軽は無いのでそんな感じの車)でやってきたおっさんの車で向かうことになります。

 食堂で食べた卵いり麺。見た眼はアレですが、味はしっかりして美味しかったです。




2017年11月2日木曜日

杭州西湖に宋代の英雄岳飛を訪ねる

杭州の観光といえば、まず名前が出てくるのは西湖。西湖は面積約6.5キロ平方、外周15キロという広大な湖。西湖十景と呼ばれる観光スポットのほか、南宋の将軍岳飛を祀る廟や「水滸伝」の武松の墓があります。(訪問時期2017年11月)


西湖へのアクセス

 三国志は呉の孫権ゆかりの地があるというので杭州を訪問しました。せっかくなので有名な観光地である西湖も訪問しました。ザ・観光地なので地下鉄やバスで簡単に行くことができます。

■最寄りの高速鉄道駅:杭州
■バス:7路 少年宮駅下車 徒歩すぐ
■地下鉄:1号線 安定路もしくは竜翔橋が最寄り駅

 バスは行きたい景区があればその近くに停まるバスを探すと良いでしょう。有名なスポットならだいたい最寄りにバス停があります。地下鉄は上記2駅が一番近いですが、少し歩く必要があります。とりあえず西湖の東端に到達できるというものなので、もし行きたいスポットが決まっているなら路線バスがお勧めです。

西湖の景観と西湖龍井

 滞在中に西湖を2回訪問しました。初日の杭州到着時と翌日午前中半日です。海のように広い湖で、夕日が沈む様はまさに息を呑む美しさでした。船のシルエットが良いですね。石橋と湖なんて情景も写真に撮影できたら良かったのですが、狭い石橋の上に人民の皆さんがひしめきあっており、全く絵になりませんでした。せっかくなので負けじと石橋の上を渡りながら湖の日没を眺めました。

 

 西湖と言えば、西湖龍井という緑茶が有名です。近くにお茶の産地もありますね。あっさりして飲みやすいお茶で、風味も優しいです。西湖の近くにはお茶屋さんがたくさんあって、西湖龍井もたくさん置いていました。お土産用の安いものから超高級品まで、ピンキリです。

 西湖に来たからにはと西湖龍井を飲んでみました。人数が多ければ本格的なお茶セットもあるようなのですが、一人なので1杯分を注文します。料金30元。観光地価格でしょうか、まあまあ良いお値段です。コップに茶葉を入れてお湯を注ぐだけ。飲みほしそうになったらお湯を継ぎ足してくれます。
 ついでに美味しそうだったおまんじゅうを注文。紫いもの風味の生地にあんこ、美味しかったです。全部ひとりで食べたのはちょっときつかった…。


 

「水滸伝」に登場する豪傑、武松の墓

 西湖には水滸伝の豪傑、武松の墓があります。もちろん水滸伝は小説なので架空の人物ですが、杭州で生涯を終えたということで、記念碑的なものとして建てられています。きちんと牌楼もあって、石碑には宋義士武松之墓と刻まれています。比較的新しいですね。西湖の北西のほとり、岳王廟の近くにあります。





岳飛を祀る岳王廟

 宋代は全く不勉強なのにここに来るのは気が引けるのですが、岳王廟を訪問しました。中国ドラマ「岳飛伝」もビジュアルがカッコ良さそうなのでぜひ観てみたいですね。そして、岳飛と言えば、成都武侯祠にある諸葛亮の「出師表」の書を書いたとされる三国志的にも興味深い人物です。最初は楷書ですが、最後は感極まって草書になっていく文体を読むと胸が熱くなります。

 岳飛は南宋を攻撃する金から国を守った英雄ですが、宰相の秦檜に陥れられ殺害されました。(超ざっくりですみません)国を守った英雄としてここに祀られています。
 立派な廟に新しい花が手向けてあります。そして塑像もかなりイケメンです。



 廟の脇には墓も造られていました。

 この像、どこかで見たことがありませんか?歴史の資料集などに載っている秦檜夫婦です。説明では売国奴として今でも唾を吐きかける人もいるのだとか。中国って激しいな~と印象が強くて記憶に残っていました。
 しかし、実際にこの像を見ることになろうとは不思議な気分です。このときは唾吐きをする人は見かけませんでした。


  ちなみに、地下鉄で西湖の東について、散歩がてらと岳王廟を目指したのですが、途中の道のりが長すぎて足が死ぬかと思いました…。今となっては美しい湖を散策できて楽しい思い出となりましたが、そのときはここで死んだら誰が骨拾ってくれるのかな…と空を見上げてしまうくらいしんどかったです。このとき大陸力は体力勝負だと実感しました。そして帰りに岳王廟の前にバス停を見つけたのだった…。




 そんな感じなので、西湖十景は見学できていません。バスで最寄のスポットまで移動するか、電動カーなども走っているようなのでうまく利用すれば体力温存で回れると思います。この日は歩行距離20キロ以上出ていました…よく頑張った。
 中国の観光地は広い。教訓になりました。


軍師連盟ロケ地訪問記-横店影視城へ行こう

中国映画・ドラマファンの聖地、横店影視城 秦王宮に行ってきました!軍師連盟の魏の宮殿で主に登場する建物です。ドラマに登場する建物そのままの景観には感動しました!!司馬懿や曹操、曹丕、曹叡たちがいた場所へ、いざ!! 東洋のハリウッド、横店影視城    横店映視城は...